
【企業DATA】
設立:1977年8月、研究部門数:18
所在地:大阪府吹田市藤白台5丁目7番1号
通常のプリンターのように、紙に印字するのではなく、3Dデータを元に立体を作り出す3Dプリンター。JBグループでは、スリーディー・システムズ社製の3Dプリンター「ProJetTM」を販売し、展示会会場に出展すると大きな注目を集めている。最近では、製造業の試作品開発などに利用され、設計段階での形状確認にかかる時間を最小限に抑えるなど効果をあげている。このProJetを、「再生医療」という最先端医療分野に利用しているのが大阪府吹田市にある国立循環器病研究センターだ。ProJetが再生医療にどのように活用されているのか、その取り組みを追った。

中山 泰秀氏
国立循環器病
研究センター研究所
医工学材料研究室
室長
大阪のベッドタウンである吹田市にある国立循環器病研究センター。この病院は、心臓病、高血圧といった心臓や血管の不調によって生じる循環器病の高度医療を行っている。全国でも数少ない、心臓移植を行うことができる病院として広く知られている。
一般には病院として認識されているが、「国立循環器病研究センター」という名称からわかるように、病院だけでなく、研究・研修を行う機能を持っている施設である。病院という臨床の場と、研究施設が隣接していることで、研究と治療の連携がすぐに行える環境を持っていることが大きな特徴となっている。
元々は厚生労働省管轄の「国立高度専門医療センター(略称=ナショナルセンター)」のひとつであったが、行政改革により、2010年4月から独立行政法人となった。
病院と併設されている研究所では、循環器病に関する様々な研究が行われている。人工心臓弁に関する研究もその一つ。3Dプリンター「ProJet」を利用し、人工心臓弁を再生医療で実現する研究が進められている。
心臓弁とは、心臓の中で血液の逆流を阻止するためについている。心臓弁に異常を持っている心臓弁膜症の患者数は全国に約30万人存在すると言われ、そのうち重症な人向けの手術は年間で1万件以上行われている。
重症の患者には人工心臓弁が取り付けられるが、金属製の機械弁と、豚や牛などの心膜や心臓弁を活用した生体弁の2種類がある。金属のものは、耐久性は高いものの、体内に金属を埋め込むことになるため、その表面で血が固まってしまうといった副作用が出てしまう。その副作用を防ぐために、患者は血液が固まるのを防ぐ薬を一生飲み続ける必要がある。
豚や牛の心臓弁を利用した場合、金属製のものと違い、拒絶反応は少ないものの、耐久性が低いことから15年程度を目処に、取り替える必要がある。
このように、現状の人工心臓弁にはそれぞれデメリットがあり、問題の少ない新たな人工心臓弁の誕生が待たれている。
