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小林啓孝
早稲田大学大学院会計研究科教授。一橋大学大学院商学研究科博士課程単位修得。博士(商学)慶應義塾大学。明治学院大学経済学部専任講師などを経て、慶應義塾大学商学部助教授、教授。慶應義塾大学名誉教授。専門は管理会計。著書に、『事業再編のための企業評価』中央経済社、『デリバティブとリアル・オプション』中央経済社、『リスク・リターンの経営手法』(編著)中央経済社ほかがある。
日本企業の将来は暗いように思われる。したがって、日本経済の将来も明るくないだろう。
アラブ首長国連邦のアブダビにおける原子力発電所建設の日米連合の受注敗退のニュースは、衝撃をもって受け取られたが、これは企業間競争がもはや単なる技術的優位性や経験の問題ではなくなっていることを示す事例であるように思われる。
かつて、エレクトロニクス製品は日本企業の独壇場とも言える状況であったが、液晶テレビのバックライトにLEDを最初に本格的に市場に投入したのは韓国のサムスンであった。日本企業は、あわててこれに追随している。また、世界で初めて3Dテレビを売り出すのも日本企業ではなく、サムスンである。
トヨタ自動車の過去最高益を遂げた直後の事業年度の大幅赤字と最近のリコール問題は衝撃度の高いニュースではあるが、トヨタ自動車が内包していた問題が顕在化したに過ぎないと見ることもできる。
トヨタ自動車の大幅赤字は、北米市場偏重のリスクが顕在化したものと解釈できる。また、トヨタ自動車のリコール問題は政治的に利用されているとする見解があるが、企業経営の観点からは、問題の本質は、GMの売上に追いつけ追い越せと急拡大に焦点を合わせた経営や問題に対するあまりの対応の遅さ、記者会見でブレーキがきかないとする顧客の苦情は「感覚の問題」と言ってはばからないところにある。
本年度、フォルクスワーゲン・グループが販売でトップになると思われるし、韓国の自動車メーカーは世界市場で急速にマーケットシェアを高め、ホンダ、日産に迫りつつある。
こういった日本企業の競争優位性の後退ないし喪失は、工作機械、部品製造、金型製造というように多くの産業分野で進行しつつある。